フランクル

人生の意味・意志を強調

 フランクルはマズロー同様、心理学の第四勢力と言われるトランスパーソナル心理
学の重要な先駆者と位置づけうる。

 フランクルはフロイト、アドラーに学んでいる。彼は人生の意味や意志を強調する。「
実存」とは「人間はただ一回だけの生命だけを生き・死にする、他に取り換えることので
きない存在(=実存)」という意味である。
 したがって、フランクルの「実存分析」(フランクル,1957)とは「自分自身がかけがえの
ない・かわることのできない実存」であることを自覚し、責任をもって自分自身の生を生
きることを促すものである。

アウシュビッツ強制収容所の生存者として

 ところで、フランクルの思想は決して単なる思弁ではない。
 彼は「限界状況」である,あの地獄の強制収容所を体験(フランクル,1961)した上でい
っているのである。普通、強制収容所に入ると離人症状をおこし、人間的な感動や感情が
乏しくなっていく。だが、そういった「限界状況」でも少数の人びとには意味を志向する
ことによって精神の健康それも強度の健康を保つことが出来るのである(フランクルのい
う「態度価値」)。

フランクルは健康な行動には目的を必要とする。行うに価値ありとする感覚を必要とする、
それに対し、この『期待すべき物』の感覚が奪われた時、精神疾患が始まる、としている。

意味の重視

 このように人生の意味や意志を全面的に重視するフランクルの姿勢はもはやフロイトの
無意識,過去への還元といったものを超えている。彼はまさしく人間の自由意志をフルに
生かすことこそ精神の健康であるというのである。心理学は病者の心理学や反応と刺激の
心理学から漸く精神的健康のテーマに関心を移しつつあったのである。

フランクルはロゴテラピーで生きている事の価値を実感する事を重視しましたが、それがただちに得られない状況にあっても価値観の枠組みを変えたり現実に対する態度を変えたり(ここには選択自由性があるとしました)すれば神経症に陥らないと考えました。自らのアウシュビッツでの体験から、いかなる状況も「その状況にどのような態度をとって臨むか」という態度を選択する自由を奪うことはできないと考えたのです。

 フランクルは、価値や態度の重視の他に、実際の治療方法として、次のようなユニークなアプローチを提唱しました。
逆説志向:恐れている事を逆に現実化しようとすると不安軽減(眠れないのではないかという不安で一杯な人に「今日は眠らないぞ!」と不眠を現実化しようとすると逆に不眠への不安は軽減する)
反省除去:無意識に行える事を考えすぎると神経症に(「眠ろう」と考えすぎると逆に眠れない。眠ることに無意識になったときに睡眠は訪れる。頭で考えることを止める)
 などです。