回避性人格障害 | 悩みで日常に支障

目の前のことに集中できない

 回避性格者は「対人関係で傷つけられる」という潜在的な危険から常時監視体制で自分を守ろうとします。しかし、緊張を高めて周囲の敵意・批判の徴候を見つけようとすれば、ますます「もしかしたら向こうの人が向こうを向いたのは、私から目を背けたのでは…」というような(リラックスしている人であれば無視するような)あるかなきかのサインまでたくさん拾ってしまうことになります。
 これらのノイズが回避性性格者を過剰な刺激でいっぱいにしてしまい、自分の環境の日常の要素の多くに注意を向けなくさせてしまいます。「対人関係の危険のチェック」だけに全精力が注ぎ込まれ、それ以外のものに気がつくのがお留守になってしまうのです。常に他人の視線や些細な声音などをビクビクと気にして、目の前のことに集中力を欠いた状態となります。仕事でケアレスミスを頻発することになるかもしれません。

 相手の言葉・表情・声音などの細かい変化をびくびくしながらチェックしていると、その対人関係を成功させる方にはゆかず、こんがらがってしまうものです。他人と情報を交換しながら、同時に相手の自分に向けた感情を些細な徴候から読解しようとする努力を同時並行で行っているわけです。一度にたくさんのことをしようとすれば、どうしてもぎくしゃくします。

 「あっ、この声は私にもう退屈しているのかも知れない。どうしよう」「今の言葉は遠回しに私を批判したのかもしれない。もうダメだ…」など、ランダムにわき上がってくる不適切な感情は、相手との会話に伴う思考の連続性をしばしば中断し、回避性性格者の対人コミュニケーションを妨害してしまいます。この認知的な妨害は特に社会的な場面に現れます。そこで回避性格者が相手の言動を警戒してチェックしていることや、些細な相手の反応に混乱していることが傍目にもはっきり見えてしまいます。

些細な相手の言動をいつまでも引きずる

 この人たちにありがちなことは、相手の表情や声音日本の少しでも引っかかるものを感じたときに、「あれは、私の発言を軽蔑して言ったのだろうか、それとも、何か別の意図があったのだろうか、いや、もしかしたら特別な意味はなかったのかもしれないし...」というような一人検討会をその後もずっとやってしまうことです。しばしば、彼らは相手と別れて家に帰った後も、相手の言った言葉が頭の中をぐるぐると回り、それを解釈するために長い時間を費やしてしまいます。他のことをしようとしても、「あの一言は、一体…」という疑念がわき上がってきます。ことによれば、他のことが何も手につかなくなってしまうかもしれません。心理的なコントロールを維持しようとする努力さえかき乱してしまうほどに侵入的でまた分裂した内面的な思考に引きずり込まれてしまいます。

 こうなると、日常生活にも支障が生じる事態になりかねません(ただし、恋愛関係の初期は、誰もが多かれ少なかれ「回避性性格者」です。ほのかな恋い心を抱き始めた相手の些細な表情や言葉が気になってほかのことが手につかなくなった甘酸っぱさの混じった思春期の思い出は誰にでもあるでしょう)。