回避性人格障害 | 過剰な警戒態勢

親密になりたいけれども近づききれない

 回避性性格者は基本的に他人に近づき、親密な関係を結びたいと思っています。しかし、あまり近づきすぎると、結局は傷つくことになるに違いないと怖れています。
 そのために「他人に近づきたい」「傷つかないように距離を取りたい」という葛藤にさらされることになります(この葛藤を「ハリネズミのジレンマ」と表現する人もいます。「ハリネズミ同士が近づきたがっても、近づけばお互いの針が刺さって痛い思いをしそうなので、近づけない」という対人状況を表現します)。

 彼らがなぜ傷つきやすいかというと、過去、拒絶されたり批判されたことで痛手を被っているからです(子どもの頃から、親から常に批判・叱責されてこのような性格が形成された可能性もあります。「他人は自分を批判・否定してくるものだ」という仮定が身についてしまったのかも知れません)。その結果、回避性性格者の構えは「二度とあんな痛い思いをするのはごめんだ」「そんな目に遭うことを避けるための最も有効な手段は、「打撃となるような出来事が近づいている」警報が鳴ってくれて、事前に危険を回避することだ」「そのためには、潜在的な脅威に対して絶えず警戒し見張っていて危険が察知されたらただちに警報装置をならさなければならない」というようになっています。

過敏なアンテナを常時張る

 こうしてこの人たちは感受性が強すぎる注意深い観察者となり、接触してくる人間のほんのちょっとした表情や言動をスキャンし評価するようになります。回避性格者は、他人のきわめて微妙な感情や人に対して過剰に覚醒しています。典型的には、ことに遠回しな批判、軽蔑的な声の抑揚やニュアンスに対して耳が鋭く、相手の声音やわざとらしい表情などの感情を表したものの背後にある意味に過剰に覚醒しています。

 いわば人間関係の中で彼らは常に敏感すぎるアンテナを張り、どんな小さなものでも、他者の中に自分を傷つけかねない徴候がないかどうかをチェックしているという警戒態勢が常時続いているといってよいでしょう。

葛藤…結果的に回避へ

 回避性格はいくつかの顕著な葛藤につきまとわれています。中心的な闘争は愛情と不信感の間のものです。彼らは他人に近づくことを熱望しており愛情を示すことや他人に対して暖かい関係を作ることを望んでいます。だが、彼らはそのような行動が苦痛や幻滅に終わるに決まっているという信念を振り払えません。

 彼らは「他人は私に欠点を探しては馬鹿にして傷つけてくるものだ」と仮定しています。そして、自らの行動が他人に彼らを拒んだり非難したりするように促すかもしれないと恐れています。心理的苦痛から自分を守るということが、優先課題となってしまいます。

 結局、 回避性格者は彼らを親密な人間関係に巻き込みそうな状況からは距離をとります。