家族のケアと共に摂食障害から回復 | 在宅ケアのモーズリー法

入院せずに家族の看護で支援する

 キャロリン・コスティンは,「モーズリー法」という家族療法を使います。
 この方法では,家族が看護スタッフになります。セラピストはコンサルテーションの役割です。
 モーズリー法は,摂食障害の在宅アプローチとして,ロンドンで発展し,アメリカでは開業医によって使われました。
 3年以下の間に神経性拒食症を起こした,思春期の子供の家族へのアプローチに効果的でした。子供が病院から戻っている状態で行います。これは高度に組織化されており,しかも病院ほどお金がかかりません。
 モーズリー法の家族療法は,5年後のフォローアップで有益な効果が持続したという研究報告があります。他の家族療法でもうまくいっているかも知れません。もっと研究は必要です。
 家族療法ができること自体,家族がクライアントを大切にいる証拠です。
 キャロリン・コスティンは「摂食障害は家族です」と強調しています。摂食障害には家族療法が仕込まれるべきです。
 キャロリン・コスティンは,セラピストの役割は「ガイド」であり,「親が子供に何をしていいるのかを教えること」だとしています。
 セラピストは,家族に共感的理解を示すと共に,一方で患者の低すぎる自尊心を育て,独立心をもたせるように,親や家族を教育します。「良い子育てと良い治療」が「良い指導」になるのです。

摂食障害問題の責任のなすりつけあいを家族の間でしないことが大切

 このアプローチでは,家族やクライアントが「批判なく,真実を話すこと」が重視され、そして「誰のせいでこうなったのか?」と言う態度をとらないようにします。(これはいかなる治療であっても「犯人捜し」はやめるべきです)
 書くと簡単ですが,はっきりいって難しいです。
 問題が起これば,大抵の家族は「○○のせいでこうなった」と責任のなすりつけあいをしがちです。
 日本では大抵は「母親のせいで」が始まります。私は,不登校や心身症,摂食障害その他の疾患でこの「責任のなすりつけあい」で家族が無駄にダメージを受けるのをみてきました。
 他方,問題を起こした子供のお陰で,家族の絆が以前より強まり、再生・回復していくというプロセスも同じくみてきました。
 子供は正直です。
 摂食障害という問題の中で、家庭の問題を提起してくれます。
 ここで面倒だから関わりたくないという態度は取らず,回復支援に参加して下さい。特別に家族療法を掲げているところでなくても,構いません。看護者・介護者という役割であっても、親が参加することに意義ありなのです。
 また,子供が治療を拒否することも多いと思いますが,それでも親が相談を受け続ける姿勢がほしいものです。
 

在宅ケアで家族が陥りがちな問題

  • 摂食障害はコントロールとの戦いであり,家族がこのループにはまると燃え尽きてしまいます。
  • 親や配偶者が腹を立てたり,治療に参加することが困難になることが往々にしてあると思います。
  • よくあるのが,拒食症・過食症を早く改善しようとするあまり、家族が患者の体重の変化や食べ物をどれだけ食べたか,などに焦点を当ててしまうことです。

 心情としてどうしてもこの数や量にしばられがちですが、ノンアタッチメント(回復させることに執着せず、患者をコントロールしようとしない)の応答がベストです。
 家族もセラピストも疲れてしまうかも知れません。それでも,キャロリン・コスティンは家族を励まします。
 「摂食障害自己がなぜあるのか理解して下さい。それでもなお,健康な自己から摂食障害自己を引き離すのを手伝って下さい。」
 全ての人が,クライアントに対してではなく,クライアントの一部に過ぎない「摂食障害自己」と戦います。そして「健康な自己」を強めるのです。この方針を一貫させることが重要です。これは、同時に看護・介護で燃え尽きない態度にもなります。

複数の家族で看護・介護の大変さを分かち合い支え合う

 アメリカでは,その他に,多くの世帯が一緒に会合する,多世帯用在宅グループ・セラピー(「マルチファミリーセラピー」)もあります。
(このような役割は日本では家族会が持っていると言えます)