拒食症最大の原因はやせ願望文化 | 自分のせいじゃないと割り切ろう

 摂食障害は最初は若い女性(とくに白人)の問題として始まりました。今や洋の東西問わず,大人も子供も,そして男女問わず増加しています。キーワードは「近代西洋化」です。とくにメディアの影響が大きいです。

 ここではまず摂食障害の歴史をみてみましょう。

過食嘔吐は古代ローマからあった

 古代ローマでは裕福な人々が食べ物を吐いては食べるということが行われたようです。
 一番古い症例は1684年にリチャード・モントン博士によって扱われた20歳の神経性拒食症です。1694年に論文になりました。
 また,英国の医師ウィリアム・ガル卿は,1874年に数人の神経性拒食症の男性の症例を報告しています。
 1903年,フランスの精神科医師ピエール・ジャネは神経性拒食症ナジャの症例を詳しく報告しています。
 神経性過食症の一番古い症例はエレン・ウェスト(1900~1933)
という方です。彼女は神経性拒食症から過食/浄化へと移行したケースで,33歳で自殺しています。
 

アメリカの摂食障害の動向について

 1935年から始まった,ロチェスター,ミネソタの地域での神経性拒食症の疫学的調査(ルーカス,1985年)研究を報告します。対象は10~19歳です。
 1939年では発生率は比較的高い。
 1950年では最低になる。
 1960年代から増加し,1980年代にピークとなる。
 なお,この研究は1985年のものですから,今も増加していると考えていいでしょう。
 また,神経性拒食症以外の摂食障害,年齢層の拡大も合わせれば,増加の一途をたどっていると言ってよいでしょう。
 キャロリン・コスティンは1996年に「摂食障害」の本を出しており,2007年まで改訂されて電子書籍とてし出版されていますが,
「近年30~50歳代の中年期の摂食障害は拡大しているエリア」と報告しています。
 さらに別の研究では,1970~1985年に神経性拒食症は発症率は増加している,病院での摂食障害の有病者は正確には手には入らないが,12万はいるのではないか(2000)との指摘があります。  アメリカの全国摂食障害協会は「およそ1千万の女性と百万人の男性が摂食障害と闘っている」と報告しています。

日本での痩せすぎ増加 | あなたも栄養失調?

 よく精神疾患は「アメリカの10年後に日本でも流行る」と言われていますが,日本でも有病率は潜在的には増加しているということは十分に言い切っていいと思います。
 痩せすぎは大人も子供も増え,ろくな食事をとっていない人が増えています。食の恐ろしい実態は岩村暢子さんが調査して本にしています。ろくな食事をとっていなければ栄養失調です。
 (100人から150人に一人の有病率ともありますが,実態は把握できないとのことです。)
 ただし,日本ではアメリカと違って摂食障害の専門家があまりにも少ないため,治療を受けたくてもどこで受けたらいいのかわからないというのが実情でしょう。

 

摂食障害は文明病だった!テレビ普及でフィジーに摂食障害が発生したのをご存じですか?

 異文化研究ではもはや摂食障害はアジア・アフリカも含めて世界で増加しています。
 摂食障害ははっきりいって文明病なのです。
 西洋近代化が鍵を握ります。メディアが大きな影響を及ぼします。

 テレビの影響がいかに大きいか-ここではフィジー島を例にとります。
 フィジーでは,伝統的な食習慣と価値観から健康的なたくましい身体が形成されていました。
 ところが,1995年にテレビが導入されました。
 その3年後,1998年には,西洋のテレビの登場人物をモデルにする手段としてフィジーの少女の80%がダイエットに興味をも始めました。テレビのメッセージには痩せには容姿やファッションだけでなく,多くの社会的美徳・社会的地位・社会的成功が与えられました。もはや痩せ信仰です。
 その結果,1995年に0%だった摂食障害のに,吐いて体重をコントロールしようとする少女が,3年間で11.3%になりました。(アン・ベッカーら,2002)
 遺伝よりも環境的要因が摂食障害発症の大きな原因となる研究です。
 摂食障害になる発達心理的要因,性格傾向や遺伝的要因はもちろんありますが,「環境が引き金をひく」のです。

男性の拒食症 | かっこいいスポーツマン体型へのあこがれ

 摂食障害は環境的要因,とくにメディアの影響が最大の要因です。過食症の40%は男性です。男性もすでにマスメディアの格好のターゲットになっています。
 「脂肪のない筋肉質な身体」・・・これが男性へのメディアからの猛烈な圧力となります。

 男性に求められるのは「運動能力に優れていること」。
 男達は優れたスポーツパフォーマンスを達成するためにダイエットを始めます。
 その意味では男性の摂食障害は女性とはタイプが異なります。

 特徴は以下の通りです。
 過度の運動,高タンパク質の摂取,利尿剤の乱用,身体イメージに対する不満,体重についての強迫観念。
 サブグループには食物儀式や食物恐怖,食物拒絶が重度の精神疾患や強迫性障害合併しています。
 男性は女性より発見が遅く,悪くなってから治療を受けるため予後が悪いといえます。
 それでも治療には,共感的理解が大切です。
 摂食障害は「男性も女性も物のように扱う文化」の悲しい結果なのです。