摂食障害によく見られる家族パターン | 期待に応えようというライフスタイル

 摂食障害の家族療法を行う場合には,ただの家族構成などの「家族歴」だけではなく,クライアントに影響を及ぼした身近な人物,親の期待なども含めて,すべての機能を査定する場合もあります。

 とくに親の期待やロールモデルとなった人物特徴等は,重要な情報源となります。

 多くのクライアントが役割期待に過剰に応えようとして生きてきた子供です。

 例えば,親が「男の子が欲しかった」のに「女の子が生まれた」場合,摂食障害のクライアントは女の子でも男の子の役割期待を背負ってしまうでしょう。
 
 摂食障害になるくらいの子供は,様々な期待に,度を超えて,応えるでしょう。

 過剰に期待に応えるという生き方は,摂食障害の専売特許ではありませんが,これにダイエットや運動障害,身体イメージの歪曲が組み合わされば,摂食障害となります。
 また,家族歴や家族関係の中で「虐待」があったか,ということは徹底調査されるべきです。本人ではなくても他の家族も含めてです。非常に繊細な問題ですので,質問してもなかなか話す事は出来ないと思います。多分,ある程度の信頼関係がセラピストとの間にできないと無理かも知れません。しかし無理しなくてもいいです。語らずとも経験豊かなセラピストはそういうことについては嗅覚があります。

 親のトラウマは子供(もしくは孫にも)に影響が及びます。性的虐待については自分の性役割や性的アイディンティティに混乱が生じます。愛着の未発達から,ありのままの自分を許しにくい要因になることは触れておきます。

 ただし,家族療法家は問題だけでなく,家族がもつ治癒力も同時に査定し,促進していきます。

 そもそも問題のない家族なんてどこにもありはしません。どんな家族も問題を抱えており,セラピストは,それでも何とかやってきたという解決能力に着目します。そして問題の解決の仕方はその家族で決めていく,そのお手伝い役です。

拒食症のきっかけ | 「よい子」の挫折体験から初期症状へ

 摂食障害の人はずっとよい子できた甘え知らずの子供です。

 しかし,発症前に,今までの生き方では通用しなくなるというストレスフルな状況に置かれます。例えば,中学校まで一番だったが,高校に進学してから勉強が大変になったとか,部活仲間やクラスメイトとの関係が難しくなった等何かしら困難を抱える状況が起こります。その時,うつや不安,強迫傾向など摂食障害の前に何らかの精神的危機があるはずです。

 そのようなとき,食事をとらなくなったり,過度な運動をしたりして,体重が減るようなことが,成功した感じ,自分をコントロールできた勝利感といった感情と結びついた時,摂食障害は始まります。もはや飢えと充足の機能より,コントロールする事の方が勝ってしまうのです。

 その後は体重やカロリーといった数との戦いになります。食物への過剰な囚われ(脂肪や炭水化物を恐れる),運動のし過ぎがセットとなり慢性的栄養失調状態に陥ります。

 身体感覚は麻痺状態となり,歪曲した身体イメージにしばられます。端からみたら病的痩せにしか見えないのに,「もっと痩せよう」とします。ろくに食べず動いてばかりいても,空腹感や疲労感を感じなくなるでしょう。

 こうして神経性拒食症は始まります。

 そしてその30~50%は神経性過食症へと移行します。飢餓に対する反動としてどか食いが始まります。

 大抵の人は痩せにこだわりがありますから,吐いたり,下剤や利尿剤を使ったりして埋め合わせをしようとします。あるいは絶食すると言う方法も取られます。