摂食障害への集団心理療法 | 同じ悩みの仲間と共に症状を抑える

集団療法の利点

 2本目の柱,集団療法の利点は以下の通りです。
 ・仲間と痛みの共有をすることが出来る
 ・共感とアタッチメントの練習をしたり,真実話す機会となる
 ・根気の要る治療について互いに励まし合える,互いに助け合える,友達が出来る

 集団療法では,セラピストが,「痩せ信仰」や「オールオアナッシングの思考」,「コントロールの問題」「注目の要求」などのトピックスを出して,メンバー同士で対話をしていきます。
 「感情のこもった良い循環」がメンバー同士でなされていることは,この治療がうまくいっている証拠です。
 しかし,集団療法でも「コントロールの戦い」にならないことが,重要です。メンバーの中には挑発的な人もいますから。その挑発に乗らずに,良い質のセラピーが出来るかは,セラピストの力量やメンバーにかかっています。(メンバー自身がこの挑発を阻止することが出来るのです。)
 
 技法としては,ロールプレイやサイコドラマなどを用います。
 例えば,レストランでの外食がテーマになったとします。
 Aさんが,摂食障害自己役,Bさんが健康な自己役,Cさんが健康な自己を補強する役などと役割を分担してドラマを行います。摂食障害自己は健康な自己を騙そうとしますから,そうならないように補強する役が必要なのです。
 他のメンバーはそれを観察します。
 これは非常に教育的な効果があります。
 メンバーと関わっていくうちに,視点が拡大します。
 「痩せているだけが美徳ではない,人にはこんなに素晴らしい面があるんだ」ということに気づきます。
 また,質のいい対人関係のスキルを学ぶ事が出来ます。
 グループのメンバーは全ての摂食障害で大丈夫ですが,過食がただ一人というのはやめるべきだとされています。

「同じ悩みを抱えた人」の治療的意味

 キャサリン・モーリスは「スタッフの中には『摂食障害を乗り越えた人』がいることが力になる」としており、これは「同じ悩みを抱えた人」が治療的な意味を持つことを示しています。

  キャロリン・コスティンとグレイグ・ジョンソンによる「個人的な回復をもっているスタッフと摂食障害治療」(2002)は注目を浴びています。(これを発表することに彼らはずいぶんなやんだようです。)
 この方法の最大の利点をあげましょう。 
・摂食障害治療という骨が折れる,長期に渡る治療の厳しさをスタッフは経験済みで心得ている。
・摂食障害という謎めいた病気のトリックやずるがしこさに精通し,摂食障害治療に耐えるのに十分強い。
・共感的理解が出来る。
 摂食障害治療は長期間続き,治療者側も燃え尽きそうになるほど過酷です。しかしこのような利点があることは大変大きいです。