自己愛性人格障害 | 他人には興味も共感もなし

「誉めてくれる取り巻きだけを周囲に集める」になりがち

 ナルシストが持ちやすい対人関係のパターンは、彼らの自己演出に魅了されて賞賛する人々(全くいない場合から、結構多くの人がファンになっている場合まで様々です)だけを周囲に集め、別に感心していそうにない人や批判してくる可能性がある人は、自分から遠ざけるというパターンです。上司など利益を与えられる存在の周囲には「取り巻き」が集まりアンチは遠ざかるといういびつな組織構造になりがちです。

 ナルシストが他人に求めることは「自分を賞賛すること」「自分が必要とするものをすぐに提供する」などでしかありません。自分から他人の居心地を案じるなどの配慮はしません。

共感力に欠けるナルシストたち

 「共感性のなさ」ということがナルシストの一大特徴である、ということが精神医学や心理学の世界では伝統的に共通認識となっていました。ナルシストから見て、他人は「ギャラリー」にすぎません。つまり、ナルシストは他人を「オレ様に対してやんやの拍手喝采を送る役割の見物人」としか見なしていません。あるいは、ナルシストの望むものを持ってくるべき下僕・便利ツールとしてしか見ていません。彼らが他者に向ける関心は(賞賛にせよ、利益にせよ)「この便利ツールから何を取り出せるか」という事しかありません。

 それ以外のことには、彼らは他者に関心を持たない-当然、他者が何を体験しているかなどには関心がないので、共感性がありません。それどころか、「わかろうともしない」場合すらあります。彼らは、相手の要求することは、自分が要求することよりもはるかに価値のないものだと考えていて、他人の要求を大して顧慮しようとしません。

 周囲から見ると、「こんなに自分のことを伝えているのに、どうしてこの相手は全くわかってくれないのだろう」と、何か認識的な欠陥があるのではないかと思わせる場合もあります。

 ここから、彼ら独特の「冷淡さ」という一大特徴が生じます。ナルシストは同僚・恋人・妻がどれだけ悩んでいようと、他人が体験していることにまったく関心を寄せないでしょう。「人の身になる」ということは、最も彼らができないことの一つです。それでも、筆者は、彼らが普段から見るからに冷たい人間である印象を与えることは必ずしも多くないと思います。中には冷然と周囲を見下したつんとすました態度を取る者もいますが、軽症あるいは正常範囲内のナルシストであれば、彼らの多くは自分の夢を楽しげに生き生きと話す人たちであり、冷血漢のようには見えません。ただ、かかわってゆくうちに、相手に対する配慮の欠如や無頓着さ・鈍感さが見え始めます。