自己愛性人格障害 | 庶民ルール無視でちゃっかりしている

テイクはしてもギブはしないナルシスト

 人間関係にはギブ・アンド・テイクと言いうる部分がありますが、ナルシストは、自分が他人に与えたものに関しては過大評価し、自分が他人から受け取っているものに関しては過小評価する傾向が強いです。彼らは、ほんのちょっとしたものであっても、何かを相手に提供する時は、お殿さまが貧民に金品を施すような感覚なのです。彼らは、自分が特別な高い価値を持った人間であると信じているので、自分がほんの少しの時間や労力を費やしただけでもそれは相手を特別待遇してやったに等しいことで、相手はそれに対して感謝するのが当然であると考えています。

 これに比べて、自分が他人から受け取っているものについては、彼らはそれを過小評価する傾向が強いです。とにかく、彼らにとっては、周囲が彼らにおあつらえ向きに奉仕することが当然なのですから。他人が提供してくれるものを過小評価します。彼らは、「自分が相手に提供したもの」と「相手が自分に提供したもの」の大きさの認知が著しくバランスを欠いています。

絞れるだけ搾り取る-搾取性

 相手から自分の利益を吸い取ることは当然だと思っており、「自分にどれだけの利益をもたらすか」によって他人を評価します。「相手から自分の利益を吸い取ろうとする」というのは「搾取的」という言葉を、より日常的な言葉で表現すれば「図々しい」ということになるでしょう。

 周囲から見ると、彼らは実にちゃっかりした人たちに見えます。「あれこれしてもらっても、まるで当然のような顔をして、お礼のひと言もない」「あつかましい」「恩知らず」などという言葉を当てはめられてしまいます。間違っても、「義理堅い人」などと言われることはないでしょう。「一生懸命やってあげても何も感謝してくれない」というだけの理由で彼らのもとを去っていく人がいても珍しくありません。

日常道徳を軽視するナルシスト

 ナルシストは立派な正論を言うのが好きです。「立派な自分には立派な主張がふさわしい」と考えており、結構、理想主義的な議論を行う場合もあります。

 ナルシストは、立派な理想論やビッグ・ドリームをぶちあげているうちに、気が大きくなり、「自分はとても重大なことに携わっている重要人物なのだから、ヒラが守らなければならない瑣末なルールに縛られる必要はない」と、自分が組織や社会のルールを超越した存在であるかのような気持ちになってしまう傾向があります。

 一方では世の中には、「決まりを守らなければなりません。少しでも間違えてはならない」と汲々としている小心な人も多いことを考えると、ナルシストの特徴がはっきりとするでしょう。ナルシストは、日常生活の中で守るべきとされている退屈な手順などを遵守することについては、「面倒くさい、煩わしい」と感じています。そして、できることならば、そのような活動を避けて通ろうとします。このタイプは、家庭では、何か自分でやらなければならない家事的なことがあっても、誰かがやってくれるのを待っていたり、集団の中でみんなで進めなければならない雑用がある時も、まわりをぶらぶらしているだけで事実上の「パス」を決め込むことも多いです。

 ビッグな自分は「燃えないゴミは火曜日に出しましょう」というような「庶民ルール」を守る必要はないと思っています。社会のルールには無頓着なのですが、「オレ様ルールを守っているんだからそれでいい」という彼らの得意な合理化によって、罪悪感を感じることもありません。約束の時間への遅刻、電車のキセル、会社の物の私用などの公私混同などを平気で行います。