自己愛性人格障害 | 特別扱いを求める

日常場面でのVIP扱い要求

 ナルシストたちは「自分は、特別な人間であり、他の人たちとは違う」というように考える傾向があるので、「そんなスペシャルな自分が、他の平凡な人たちと同じ扱いを受けなければならない」という場面に対してフラストレーションを感じてしまいます。日常的に、最もよくある場面が「並んで、順番を待っている」というシーンです。このようなときに、すぐにイライラし始めて、「前の人は、お財布からお金を出すのに、何をもたもたしているんだろう」などとイライラしてきます。ナルシストは「ヒラ」でいることに我慢がならないのです。

 単なるせっかちな人がこう感じるのは別に自己愛的とは言えません。自己愛性性格者と言えるのは、自分のことを、特別な存在だと思っていて、「普通の人たち」と同じように扱われる、ということに不満を感じている場合です。そこで、他の人と同じような扱いを受けて、じっと自分の順番を待っていなければならない、という場面がさらに苦痛に感じられてしまうのです。

 「スペシャルな自分だけには、特別ルールが適用されるべきだ」と考える傾向があります。「順番待ち」と言うのは一例であり、全般に物事の手続きなどを「どうでもよい、重要性のないもの」と受け取って軽視する傾向があります。周囲からは「ルールを破るワガママな人」と見られてしまいます。国会議員や有名タレントが、「自分ならば許される」と当然のような顔をして、予約が必要とされている高級レストランに傲然とした態度で入ってゆく光景を想像していただきたいです。ナルシストが社会のルールを軽視し、「自分だけは特別扱いされるのが当然」とする心理はこれに近いです。

仕事場面で「雑用」を嫌う

 自分は特別な人間であり、自分の時間も特に重要な時間であると考えているので、雑用的なこと、かわりばえのないルーチンワーク的なことをやっていると、「なんでこんな詰まらないことをやっていなきゃいけないの?」「自分の時間をつぶされている」などと感じてしまいます。どこかで、「自分は特別な人間なのだから、自分の時間はより貴重な時間で、他の人よりも価値の高いことに使うべきだ」という感覚があります。

 周囲の人から見ると、口は達者なのに、みんなで雑用を分担するべき時になるとなかなかきびきび動いてくれなかったり、上手にパスしてしまったり、というように、まじめに取り組んでくれない横着な人に見えることもあります。ただの面倒くさがりとは違います。この人たちは、内心、「こんなこと、どうして私がやらなきゃならないの?」と抵抗して、自分のプライドを傷つけるような雑用に従事することを避けているのです。

 これは、彼らが自分自身のことを特別な重要人物であり、特別に重要なことだけをやるべきだ、と考えているところからきます。彼らの時間は他の人々の時間よりも重要なのであり、みんなで分担するルーチンワークなどに「自分のような重要人物の貴重な時間をつまらない事に費やす必要はない」というわけです。