自己愛性人格障害 | 高すぎる自己評価と上昇志向

「高すぎる自己評価」が根本

 「自己評価が高すぎる」-これが、ナルシストの最大の特徴です。彼らは思い上がった傲慢な人たちなのです。周囲から客観的に見ると、それほどとも思えないのに、本人一人が自分を過大評価しています。彼らは、相手にもそのように思わせたいので、悠揚迫らぬ大人物風の挙動をしてみせます。

 平凡・人並みということでは絶対に気がおさまりません。上昇したい、皆よりも特別なところに行きたい、という気持ちが非常に強いのです。

 はたからは実現困難な目標も、自己評価の高いナルシストたちは、何でも自分の思い通りに実現するものと思っています。だから、彼らは将来に対してきわめて都合のよい楽天的な夢を抱いています。彼らは、「なんて素敵な俺様」「万事順調」というような、楽天的な高揚した空気の中にいます。彼らはいわゆる「ドリーマー」なのです。
 
 自分のことを、どこかしら「他の人とは違う」と思っています。悪く言えば自意識過剰です。自分が「普通であること」や「ヒラであること」には物足りなく思い、自分の人生が他にはないようなユニークな特別なものであって欲しい、という思いを強くもっています(これに対して依存性性格者は、「自分は、人並み」と考え、「他人と同じであること」に安心感を覚えます)。

非現実的なナルシストはなかなか夢が叶わない

 彼らの自分からの努力がイマイチにとどまっているのは、どこかで「他の誰かが、自分の望みにおあつらえむきになるようにお膳立てしてくれるもの」という虫のよい期待が彼らの中にあるからです。「片手間にやっても楽勝」こそ自分に似つかわしいかっこよさで、汗を流して努力しているがむしゃらな姿など格好よくないと思っています。

 彼らが望むほどには成功できないもう一つの理由は、彼らが「いきなりドリームに浸らず一歩一歩進んでゆく」という現実的な感覚に欠けているからです。若い人であれば「テレビによく出ている有名タレントが言っているモテファッションをやっておけばうまくゆく」、社会人であれば「創造性が足りない。創造性があれば企画なんてたやすく浮かぶはずだ」と部下を叱咤したするなど、ブランド信仰や精神主義的な理想論を振りかざしていれば物事が実現するかのような現実離れした観念論に頼って具体策に欠けているからでもあります。

 容姿や能力など何かしらの美点があり親が過剰にチヤホヤしながら育てた結果このようなパーソナリティが形成されるとする説があります。彼らの成功を阻んでいるものは「ちょっと不機嫌そうな様子さえ見せれば、たちどころに相手が自分の望んだ方向に取りはからってくれる」という幼年時代のパターンを望んでおり、どこかで「俺の才能を見抜かれてスターに引き上げられる」というような他人の好意によるラッキーに期待しているからかも知れません。